『博愛』の人

III. The Empress・・・
僕という人間はきっと、
昔からコンプレックスの
塊だったと思うのです。
以前の記事でも書きましたが、
僕は中学時代に
いじめとか、完全シカトとかを
されていました。
僕の唯一居る事の許される居場所は、
ロックとギターだけでした。
メイクや髪の毛を染める事を覚えたのも
そんな頃でした。
勉強そっちのけに、
カセットテープ(そんな時代です)が
擦り切れるくらいまで、
ヘヴィロックばかりを聴いては、
大好きなアーティストの
ギターを一生懸命コピーしていました。
高校生になると、
バンドブームと言われるものがやってきて、
流行ってなきゃ
絶対バンドなんてやらないだろう
というような人まで、
バンドを組むような時代でした。
やっぱり、
みんながコピーしてたのは
男の子だったらボウイでしたね。
女の子だったら、
プリプリとかレベッカ。
だけど僕は、そんな子たちとは違って、
ヘヴィギター少年だったので、
高校時代には
「メタル君」というあだ名で
呼ばれていたくらいです。(笑)
高校2年の時、
先輩に誘われて入ったバンドで
文化祭の時、
生まれて初めてライブをやりました。
ひとりぼっち、
自分に全然自信のなかった僕は、
バンドのギタリストになった
という事によって、
やっと自分に自信を持つ事が出来たのです。
ステージの上、
照明のライトが
じりじりと照りつけるステージ、
そここそが僕の居場所でした。
その後、僕はライブハウスで
ライブをするバンドのギタリストへと
なっていくわけですが、
「バンドマン」という僕は、
それ自体が僕のアイデンティティ
そのものでした。
僕の心の中でぽっかりとあいた
コンプレックスという
深い穴を埋めてくれるのが、
「ギタリストのIkuya」だったのです。
そう。
コンプレックス・・・。
いじめのトラウマもありますが、
それよりも心の深くに根を張る
コンプレックスが僕にはあるのです。
実は僕には、
少々歳の離れた兄がいます。
その兄は非常に頭のいい人で、
学生時代から勉強は出来、
今現在では、
薬学のいわゆる
「博士」の学位を持ち、
素人の僕にはあまりよく分かりませんが、
なにやら、
特許を取るような
薬の開発に関するノウハウを発明した、
そんな人なんです。
だから正直、
学生時代、勉強もそっちのけに
ヘヴィロックを聴きまくり、
ギターに明け暮れていた僕には、
「頭の良さ」では
到底かないません。
じゃあ僕自身、
これなら兄貴の上を行ける、
そんなものはないものかと
常に考えていました。
ひとり真っ暗な部屋に
引き蘢っていた時期というのは、
引き蘢っている自分に
引け目を感じるが故に、
余計にその事を考えたものです。
で、僕は考えたのです。
ララ・ルミナスとして
引き蘢りから脱した時、決意したのです。
「博識」では兄には勝てません。
だから僕は「博識」の人になるために、
「博学」を伸ばすのではなく、
「博愛」を育む人であろうと考えたのです。
「博愛の人」であるという事。
それが、
僕がララ・ルミナスであった頃から
今の今まで、常に心がけている
僕の中の絶対的かつ恒常的な
フィロソフィなのです。
「博識」でも「博学」でもなく
常に「博愛」の人であろうと。
「博愛」であることで、
一生懸命、背伸びをして
僕の兄よりも大きくなろうと
しているのでしょうね。
時々、それが
僕の強迫観念となって
辛くなったりもしますが、
それでもただ、「博愛」の人でありたい、
僕はそう考えているのです。
それが、
鮎沢郁弥のフィロソフィだから・・・。
そして今、
その「博愛」に磨きをかけるべく、
「正直さ」と「誠実さ」も身につけたいと思っています。
「博愛」「正直さ」「誠実さ」
この3つを身につける事が出来たなら、
もう鬼に金棒だと思いません?
これが、
鮎沢郁弥のフィロソフィです。