楽曲解説:レインブーツ

音源で歌っている歌詞と
表記されている歌詞でが違いますが、
音源の方が歌い間違っています。
歌詞カードの方が正しい歌詞です。

前曲「春に好かれる人」が
昇華されていく心の描写だとすれば、
ラストのこの曲は
昇華できないまま閉じた内的世界に
残された心象を描いているのだと思います。

「春に好かれる人」という終わりとは
対極にある「パレードがくるよ」の終わりであり、
アルバムという作品単位を
繰り返して聴くなら
「レインブーツ」を通って
1曲目に帰っていくのでしょう。

この曲の存在意義というのは
さらにこのアルバムを聴き返して
1曲目に戻り「あの人」の
テーマの提起にあると思います。

この曲の歌詞に頻繁に出てくる
「あなた」や「あの人」というのは
もちろん、1曲目の「あの人」の
ことなのだと思います。

1曲目で、
くどいほどに語られる
「あの人」の重みは
この曲「レインブーツ」が
切々とうたっています。

個人的に僕が思うにおそらく
この歌詞に出てくる「恋」というのは、
恋の中のもっとも辛いシーンだと思うのです。

遮断された外界の閉塞性と、
辛さのみの内的世界だけが
ありありと拡大していく様は、
往往にして
人を好きになることの
ほろ苦さなのだろうと思います。

そのときの当事者は
ほんとうに辛いのだろうけど
繰り返し体験したくなるし、
時が巡ればいずれまたやってくる。

それが「パレード」なのだと思います。

甘い味なのですが、
心を縛るという意味では
やはり毒薬なのでしょう。

レインブーツ

陽の暮れる街を雨音がたたく
不意な雨 傘なんて持ちもしないだろうに
灰色に濡れた空を仰ぎながら
今 誰の傘を待つ人なのあなたは

お願いさ Rain boots 導いておくれ
雨の道に惑いためらう心を
窓の外は Rainy blue 何度も振り返る
もう迎えになんて行けはしないのに

もう帰れたのかな まだ待ってるのかな
想うほど今すぐに声がききたい

こたえてよ Gray sky もうすぐ夜がきたら
また想わせぶりに明日を話すでしょ
おしえてよ Silent night もう関わりないの?
眠りに落ちる前に答えをきかせてよ

追憶はアンブレラ 雨の雫に洗われて
古きあの日はいつもきれいなまま
雨だれに案じれば、なんてひとりと感じるの
だから心の熱を奪う雨は嫌い

誰の待つ家路を帰る人なの あなた
傘が泳ぐ街は雨の別世界
誰の傘に抱かれ去る人なの あなた
もう知ろうとしてはいけないけれど

お願いさ Rain boots 連れていっておくれ
雨の道を渡り あの人のもとへ
せめて一度 Dream for two ふたりで歩く街を
夢見疲れる前に好きだと云ってよ


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