楽曲解説:春に好かれる人

この曲のタイトルからも
察することができるように、
これは「春待ち坂」に対する応答という
意味合いの曲です。

「春待ち坂」という曲は
上昇する、あるいはしようとする
エネルギーに満ちた楽曲だと
僕は思っているのですが、
この曲では
「春待ち坂」のてっぺんを過ぎ、
ともすれば下り坂なのかもしれないことへの
寂寥感を伴った諦念という
収束していくエネルギーを持っているのでしょう。

「パレードがくるよ」の1曲目から続く
「あの人との物語」が
この曲で総括されていきます。

と同時にある種のカタルシスというか、
解放されていく何かがここにはあります。

酸いも甘いも、
この曲で解き放たれ終わりとなります。
綺麗さっぱりと。

ここですっきり出来る人というのは
きっと春に好かれる人なのでしょう。
この先も坂の向こうに春が待っているのでしょう。
と同時に、冬からも
卒業することが出来るのかもしれません。

楽曲に関しては、
これもまた鮎沢節というか、
僕の曲ではよく見受けられる
パターンの曲ですね。

一番最後のコーダ(エンディング)部分は
まっすぐに前を向く意思を
うまく音で表現できた気がして
結構気に入っています。

どんな魔法が解けたのか気になりますね。
それによって
幸せになれたのか、あるいは
逆に苦しくなってしまったのか。

春に好かれる人

秋を残したままでは 冬と仲良しになれません
冬を越えた人ならば きっと春に好かれるでしょう

そういつまでも冷たいままじゃない
名残り雪を照らす陽射しを見上げ 春を待とうか

ありがとう、大好きな人 うららかな光の似合う人
あなたのおかげで僕は笑うことを思い出せたよ

ああまだどこか あなたの面影が
映る凍りも消えて そして元通り またひとりきり

時は流れるだけで誰も待たない、あの人も
まばたきごとに遠く引き離してゆく、忘れるまで
立ち留ったままでは追いつかれるよ、また昔に
今ふり向いてしまうと また帰れないよ、永い冬から

冬のおわりに魔法が解けた

もうサヨナラと手離すつもりなら
涙ひとつさえも残さず捨てる覚悟がいるね

黄砂が迎えにきて天へと返す、想い出を
あの人が本当に行くべき場所へ行けますように
春に好かれる人は明日を見てる人でしょう
だから僕の春は僕に気づかない、いつもいつも

冬のおわりに魔法が解けた
これで最後の魔法が解けた


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