ねじの回転 – ヘンリー・ジェイムズ

この『ねじの回転』という小説は
100年以上前、1896年に
アメリカの小説家ヘンリー・ジェイムズが発表した
ホラー小説、というか古風に「怪奇小説」
と呼ぶべきかもしれませんが、
流石に現代人の「恐怖」の感覚からすれば、
この小説は、ホラーものというより
「サイコスリラー」的なジャンルに
分類されるのではないでしょうか。
そっちの界隈では
知る人ぞ知る傑作として扱われている作品です。

100年も前の「怪奇小説」となれば
例えば、狼男とかドラキュラなどの出てくる
ああいうゴシックな世界(私感)だと思うのですが、
この小説も一応、ホラーものである以上、
「幽霊」は出てきます。
ただ、その幽霊がぐわーっと出てきて
物語の登場人物や、あるいは読者を
震え上がらせることはありません。
ぶっちゃけ、言ってしまえば
「居るだけ」
しかも、幽霊が居ると言っているのは
主人公の女性だけっぽい。

さて、どんな物語かといえば
上述の主人公が
イギリスのとある屋敷に住んでいる
幼い男女二人の家庭教師として、
その屋敷に赴任してくるところに
端を発するわけですが、
この主人公の女性が赴任直後に
この屋敷で幽霊を目撃します。
そして日が経つにつれて
どうも、その幽霊(二人いる)が
幼い生徒(主人公はその二人を溺愛している)に
接触しようとしている「考え始め」ます。
主人公は、このままでは
「可愛い私の生徒が幽霊の手に落ちてしまう!」
と「信じ込み」、いろいろと策を講じ始めるのですが、
果たしてどうなる・・・!?

というお話。
まあ、「赤毛のアン」とか、世界名作劇場的な雰囲気な
サイコスリラーを想像していただくと、
空気感はわかるかな、と。

先に説明したように、この小説は
100年以上も前に書かれたものなのですが、
一周回って現代っぽい展開で、
古臭さを感じません。(斬新なわけでもありませんが)
100年以上も前といえば
夏目漱石とかの時代なわけで、
ここがこの物語の面白さだと僕は感じました。

まあね、
家にゴキブリが出ると
そのゴキブリを撃退しても
まだ他に仲間がいるんじゃないかと
疑心暗鬼になって、
どこかで気分を転換しないと
本当に神経症のようになるもんですよ、ええ(笑)

250ページそこそこの本(中編クラスかな?)なので
夏の読書にどうぞ。
ちなみに、映画も出ているようですが
こっちは評判が悪い・・・。
本で読まれることをお勧めします。