譲り合いの力

僕の経験上、名古屋では
およそ20年に1回くらい
大きな街路樹が倒れて
停電もするくらいの風の吹く台風が
やってくるのです。

例えば、1990年台の終わり頃にも
そんな大きい台風が来たことがあって、
停電で信号が消えてしまったことがありました。

ちょうどその時、僕自身は
車で信号の消えた交通量の多い国道を
走っていたのですが、
停電して、まだ間もないのか
警察の交通整理さえいない状況で、
そうなると本来であれば
阿鼻叫喚の交通事故地獄になるかのように
ついつい想像しがちなのですが、
ところが、
その信号の消えた交通量の多い国道の交差点では、
(信号が点いていないので)
みんな、四方の自動車の動きを様子見しながら、
状況判断で、そろそろと交差点を通過するので、
むしろ、道路が安全に思えた、
そんな経験をしたことがあります。

それから20年以上が経って、
去年(2018年)の年末、
正月の買い物でごった返している
スーパーに買い物に行った時のことです。

そこのスーパーは
もともと棚同士を挟む通路は狭く、
普段でも結構進路がつかえることがよくあるのですが、
正月の混雑した通路のところどころで
同じごった返した通路でも
スムーズに客が流れていくところと
渋滞するところがあることに気づきました。

この差はなんだろう、と思って
注意深く、買い物でウロウロしながら
人の流れを観察してみて
ふと思い出したのが、
20年前の台風で信号が消えた国道の件でした。

全てがそれで説明がつくわけではないのですが、
どうも、通路で立ち止まった後の
客の行動に、一定のパターンがあるように感じました。

混雑した買い物客の流れの中で
誰か一人が立ち止まると
当然、流れは滞ります。
その一瞬滞った流れを受けて
後続の客がどう行動をとったかによって
流れのスムーズさが違う気がしたのです。

混雑する(詰まる)流れでは、
誰かが立ち止まった後、
後ろの人が隣接する別の進路に
無理やり割り込んだり(悪気はないにしろ)
追い越したり、先に行こうとしたりすることで、
不要な「立ち止まり」が発生しているようで、
逆に、
スムーズに流れるところでは、
先行する人が立ち止まった時に
後続の人も立ち止まって、
別の流れに入っていくために
割と周りの流れをみる様子が伺えるのです。
誰かが自分の直進方向に入りたそうにしていると、
普通は自分の歩みを遅くして、
入ってこようとする人を入れてあげるもので、
それが無意識的にも実践されている流れでは
全体としては多少、流れるスピードが
遅くなるかもしれないけれど、
立ち止まるほど停滞を起こさない、
そのように思えたのです。
(ちょっと説明がわかりにくいですが・・・)

ざっくり要約すると、
混雑する人の流れの中では
我先に前へ進むより
互いに人を先に行かせるように進んだ方が
混乱も停滞もない、ということ。

この原理が
上述のスーパーにも20年前の消えた信号にも
働いているように思えるのです。

まあ、他序論と言ってしまえば
それだけの話なのでしょうが、
つまるところ、つまらないのは(笑)
結果として、譲り合う方だ
という話。


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