The Prodigy / Invaders Must Die

最近、思い出したかのように
プロディジー熱が復活しています。

新しいアルバムもとんとご無沙汰なので、
これまでに出たアルバムを
ざっと通して聴いてみたのですが、
今の僕の感覚では
この
「Invaders Must Die」が一番かっこいいと思えます。

とにかく、こいつらの
楽曲の構成力は、
その辺のペラペラテクノ(とかニカ)では
到底、達することのできないような
領域のもののように思えます。

曲作りで、俗に言う
「奇を衒う」というのは、
作曲の経験をある程度積めば
誰にでもできる芸当なのですが、
その「奇」を必然でまとめあげる芸当は
にわかなスキルでは不可能なのです。

このアルバム「Invaders Must Die」に
限ったことではないのでしょうが、
楽曲の表面的な部分、
つまり「皮」とか「筐体」とか、
そういうものは、
暴力的なエレクトロニカあたりの
「形」をしているのですが、
こいつらの楽曲は
そうした「装甲部分」を取り外した中身は、
結構、伝統的なクラシック、
それこそ本当に、クラシック音楽の
骨格を持っているのです。

ほら、昔のファミコンの「マリオブラザーズ」の
ゲームスタート時のモーツァルトとか、
あれを、イカつく格好で「作品化」したようなイメージ。
モ氏は古典派ですけど。

とりわけ、この「Invaders Must Die」には
ロマン派以降、印象派の直前
19世紀の終わりから
20世紀に入るあたり(知らんけど)の
オーケストラが熟れに熟れて、
腐る直前の肥大化した状態だった
そんな時代のスコアを
ノコギリ波や矩形波で
サイボーグ化したような、
そんな印象を強く感じるのです。

なんか、いまひとつ伝わっていない気がするけど(笑)
テクノとかを聴く感覚より、
クラシックを聴く感覚に近いんですよね。
少なくとも、僕にはこれ、クラシックに聴こえるんですけど(笑)

クラシックを他より質の高いものを
定義することはさらさらありませんが、
クラシックのフィロソフィを
こっそり気付かれないよう形で
こういう音楽に移植したという点(だとすれば)において、
実に音楽的に上質なテクニックを
駆使したアルバムだと思えるのです。
・・・考え過ぎかもしれないけど・・・

そういうわけで、このアルバムはオススメ。
真偽は聴いて確認しやーせ。